B4サイズに魔法をつめて

「あ、うん」
と、振り返ったその時。



……トンッ!



ひじに何かがぶつかった。



慌てて机の上を見ると。



「あっ!! どうしよう!!」



ふたを開けていた漫画インクが倒れていて。

原稿用紙に黒い海が広がっている。



「どうしたの?」



お姉ちゃんが心配そうに机をのぞき、
「うわっ、原稿にインクを倒したの!?」
と、驚きの声を出した。



「どうしよう……!? もう締め切りはすぐそこなのに!! これ、三枚くらいダメになったよね!?」

「……ごめん、私が声をかけたから……」

「描き直し!? 今から!? どうしよう、間に合わないじゃん!!」






とにかく落ち着かなくちゃ。

(なげ)いても、怒っても、大切な原稿用紙を不注意で汚してしまったことは、変わらない。



汚れた三枚のページを見る。

主人公が彼と階段ですれ違うシーンを描いたページだった。