B4サイズに魔法をつめて

下絵の途中だった漫画原稿に向き合う。

ネームの段階で、画面の見せ方にはかなりこだわった。

顔のアップは描きすぎない。

場面転換には必ず背景を描いて。

それ以外のコマでも、しつこくならない程度に、背景はなるべく描く。

キャラのアングルを変えるために、上から見た“ふかん”や、下から見た“あおり”は積極的に取り入れた。



「描かなくちゃ」



下絵を終わらせよう。

私はシャープペンシルを持った右手を、じっと見た。



「出来るよね?」



右手は黙って、紙の上を滑っていく。



魔法がかかったみたいに。







私は。

右手に連れられるように、キラキラした世界に旅立つ。



私だけが連れて行ける。

素敵な世界へ……。









それから。

ペン入れの作業に入って、数日が経った。

その間、真昼からの連絡はなくて。

私からも何の連絡もしていなかった。



学校に行く時間は正直惜しいとは思ったけれど、真昼のために授業のノートをとりたいから、平日は毎日登校した。