B4サイズに魔法をつめて

「なんで泣いてんの?」



それには答えず、真昼は自分のトートバッグから茶封筒を出した。

大きさから、漫画原稿が入っていることがわかる。



「どんなに好きでも、どんなになりたくても、私は……漫画家にはなれません」



「えっ? なんでそんなこと言うのよ」

「師匠のようになりたいとずっと思っていたけれど、師匠の真似をしても、師匠に教えてもらっていても、漫画家にはなれないと思うんです」

「えっ、な、なんでよ」



真昼はひっく、ひっくとしゃくりあげて、本格的に泣き出した。



「え、絵も話も、こ、こんなに、ち、力不足で……、こ、これが実力なのかと思うと泣きたくなるんです」



真昼から茶封筒を受け取り、私は漫画原稿を取り出した。



そこには。

真昼の世界が広がっている。



キャラを何頭身で描くと良いのか尋ねてきた人が、こんなにデッサンのとれた絵を描いている。

背景の描き方だって、全然わかっていなかったのに。

確かにここには、キャラ達の世界がある。



「なれるよ。諦めちゃダメだよ」



そう言った私の声が、震えてしまった。