B4サイズに魔法をつめて

部屋に入ると、机の上に積んだままの漫画原稿に、真昼の目がキラキラと輝いた。



「もう完成に近いんですか!?」

「あ……、いや、最近は作業を全然していなくて」

「え? どうしてなんですか?」



誤魔化すようにへらへら笑っていると、真昼が言った。



「師匠、漫画を描いてください」



「……う、う〜ん」
と、煮え切らない返事が口元からこぼれる。



「師匠は漫画家になる人なんだから、漫画から離れちゃダメですよ」



(……そんな簡単に言わないでよ)



失恋したんだよ。

他の人に先を越されたんだよ。

私だってショックだよ。



いつの間にか眉間にシワが寄ってしまう。



「私のせい、ですか?」
と、真昼が尋ねてくる。



そうだよ、とは言えないけれど、心の中ではざわざわした波が寄せてくる。



「……師匠の漫画、読みたいんです。早く、誌面で」

「……」



真昼を見つめた。

なぜか目にいっぱいの涙を溜めて、こう言った。



「投稿しなくちゃ、認めてもらえない。認めてもらえなくちゃ、漫画家になれない」