ソレが出て来る話を聞かないでください

「いや!」

夫の手が額に触れる寸前で、その手を振り払ってしまいました。
パシッと音がして夫が驚いた顔をこちらへ向けています。

「あ……」

どう言い訳すればいいか考えている間に、レンジが暖め終わったことを知らせてきました。
その実に現実的な機械音に言葉は遮られ、消えていきます。

「ま、なんでもないならいいけど」

夫はそう言って作者に背を向けると、再びコタツに入ってしまいました。