ソレが出て来る話を聞かないでください

カランと音がしたことで盛り塩の存在を思い出し、足元を見てみると……。
真っ黒に変色した塩が床に散らばっていたんです。

盛り塩はリモートで会話する前に準備したものですから、劣化のはずがありません。
そもそも劣化するにしても、黒いスライムのように溶けたりはしないはずです。

背筋が寒くなった次の瞬間、書斎の中に腐ったような臭いが漂っていることに気がつきました。

慌てて窓を開けてその臭いを外へ排出します。
すぐに臭いは消えても安心はできませんでした。

心臓が早鐘を打っている中、キッチンへ向かいました。
そのとき見た光景は今でも忘れられません。

棚の中の食器がすべて床に落ちていたんです。
足の踏み場もなく散乱した食器の山に言葉をなくし、座り込んでしまいました。

これだけの食器が落下すれば音がするはずなのに、作者はなにも聞いていません。