『最初は自分の気のせいだと思ったんです。でも、違った。SNSで見た話が何度も何度も頭の中で思い出されて、たぶうん、一語一句間違えずに言えると思います。あ、でもここでは言いません。言えば、大変なことになるのも、もうわかっています』
そこで史也くんは呼吸を整えて、そして泣きそうな顔になりました。
『実は俺、イトコのその話をしちゃったんです。あの女が見える原因になったのかもしれないって、わかってたのに……。
だって俺、ひとりで本当に怖くてどうすればいいかわからなくて! そしたら思ったとおりイトコにもその女が見えるようになりました。それで俺は、俺は……』
そこまで言ったとき、史也くんがどこか遠くへ視線を向けました。
その顔がみるみる青ざめていき、手ぶれ防止機能付きのスマホ画面がブルブルと震えはじめました。
『ヒィィィ!!』
史也くんの甲高い悲鳴と共に画面が上下左右に揺れて、天井床壁を行ったり来たりしました。
その中に一瞬、ソレが映りこんでいました。
ソレはこちらへ近づいてきています。
史也くんがいたのはどうやら学校のようで、トイレに逃げ込んで鍵をかける様子が映っていました。
史也くんの息遣いは荒く、大きな目からはボロボロと涙があふれ出しています。
スマホを自分の方へ向けて録画を続けたまま、便座の上に座り込んでしまいました。
『今、ちょっと映ったかもしれません。俺は、あの女に追い掛けられるようになりました』
そこで鼻をすすりあげ『なんでだよ、くそっ』と悪態つく様子も映っていました。
そこで史也くんは呼吸を整えて、そして泣きそうな顔になりました。
『実は俺、イトコのその話をしちゃったんです。あの女が見える原因になったのかもしれないって、わかってたのに……。
だって俺、ひとりで本当に怖くてどうすればいいかわからなくて! そしたら思ったとおりイトコにもその女が見えるようになりました。それで俺は、俺は……』
そこまで言ったとき、史也くんがどこか遠くへ視線を向けました。
その顔がみるみる青ざめていき、手ぶれ防止機能付きのスマホ画面がブルブルと震えはじめました。
『ヒィィィ!!』
史也くんの甲高い悲鳴と共に画面が上下左右に揺れて、天井床壁を行ったり来たりしました。
その中に一瞬、ソレが映りこんでいました。
ソレはこちらへ近づいてきています。
史也くんがいたのはどうやら学校のようで、トイレに逃げ込んで鍵をかける様子が映っていました。
史也くんの息遣いは荒く、大きな目からはボロボロと涙があふれ出しています。
スマホを自分の方へ向けて録画を続けたまま、便座の上に座り込んでしまいました。
『今、ちょっと映ったかもしれません。俺は、あの女に追い掛けられるようになりました』
そこで鼻をすすりあげ『なんでだよ、くそっ』と悪態つく様子も映っていました。



