ソレが出て来る話を聞かないでください

そう言うと手招きして私と悟志を庭のブランコがある方へと誘導しました。
庭は白い塀で覆われていて通りから見ることはできません。
人目を回避できてひとまず胸をなで下ろしました。

「私は優奈。小学校6年生よ」
優奈ちゃんと名乗ったその子は少し背が低く、そのためもっと幼く見えていたようです。

実際は小学校6年生で図書委員もしており、しっかりとした子でした。
「私は彩音。こっちは悟志だよ」

優奈ちゃんは嬉しそうに頷いて「これで私たち友達だね」と言いました。
きっと学校とかで知らない人と遊ばないように注意を受けていたのでしょう。

それで、友達になったから大丈夫だと自分を納得させたようです。
優奈ちゃんは賢い子みたいです。

「このスマホ、お兄ちゃんのなんだよ」
優奈ちゃんはブランコに座ってスマホのロックを解除しました。

「いつもリビングで使ってたから、暗証番号丸見えだったの」
ちょっと悪い事をしている楽しさがあるのが、優奈ちゃんはクスクスと笑います。