ソレが出て来る話を聞かないでください

「ゴールデンウィーク最終日にあの話を聞いたんだとすれば、絵里の様子がおかしくなった日と一致してる」

「そうだな。でも問題はこの史也ってやつと話ができるかどうかだな」

それ以降も絵里の日記を確認しましたけれど、史也という男の子について書かれている文章は見つかりませんでした。

だけど絵里のイトコなので、きっとヒントは近くにあるはずです。
タブレット端末にアドレスが入っていないか調べてみることにしました。

でも、そのときです。
コンコンとドアのノック音が聞こえて来たので、私は慌ててタブレットを引き出しに戻しました。

「欲しい物みつかった?」
絵里のお母さんがドアを開けて声をかけてきたんです。

もう少しで大きなヒントを見つけるところだった私は内心苛立ちを感じました。
だけど絵里のお母さんからすれば、私たちが長い間絵里の部屋にいるから気になったんだと思います。

「あ、はい。あの、これをもらってもいいですか?」
私は咄嗟に机の上に出しっぱなしになっていたボールペンを握りしめて言いました。

それにも絵里が気に入っていたウサギのキャラクターが印刷されています。