ソレが出て来る話を聞かないでください

《悟志:なにか気になる事でもあるのか?》
《彩音:葬儀のときのふたりを思い出したの。そっとしておいてあげたくて》

《悟志:気持ちはわかるけど、そんなこと言ってる場合なのか?》
その質問にはしばらく返す事ができませんでした。

絵里から聞いた話のせいで妙なものが見えるようになりました。
わが子を失い憔悴しきった両親へ向けてそんな質問をするのかと思うと、気が重かったんです。

《悟志:わかった。それなら昔話のことは伏せておこう》
《彩音:昔話について調べるんじゃなかったの?》

《悟志:そうと感づかれないように話を聞くんだ》
《彩音:そんなことができるの?》

《悟志:わからない。でも、やってみよう》
その後、悟志に強引に押し切られるかたちで翌日の学校をサボルことになりました。