ソレが出て来る話を聞かないでください

この記事にはその人の名前や当時使われたアパートの住所まで記載されていました。

これが本物かどうか怪しいですけれど個人情報が記載された箇所は赤いペン囲まれていて、史也くんがちゃんと確認したというのが伺えました。

「これがあの昔話の真相か?」
どうやらそのようです。

あれは捜索ではなく、実際に起きた一家心中事件を扱った話だったんです。
「史也くんはここに行ったのかな」

赤い丸印を見て私は呟きました。

SNSであの昔話を聞き、真相を突き止めるためにこれだけの資料を集めたのですから、現地に行った可能性は高いと思いました。

そこで私と悟志は目を見交わせました。
次にするべきことが見つかったからです。

ファイルに書かれている資料によると、その住宅があるのはここから更にバスで30分ほど行った先にある、へき地です。
でも、行けない距離ではありません。

「行こう」
悟志が短く言い、私は頷きました。