December〜この愛が続きますように〜

(まあ、これからが本番なんだけど)

緊張で頭の中が真っ白になってしまいそうな前を、手洗いカウンターの冷たい水が「しっかりしろ」と言うように手を冷やしていった。



カフェを出た前は走って真冬の元へと向かう。真冬のために予約したのは洋服店だった。よそ行きのおしゃれなドレスがたくさん売られている。

前が店の中に入るとすでに真冬は青いドレスに着替えており、髪もセットアップされてメイクもプロによってしっかり施されていた。

「ぜ、前!ここに来たら着替えさせられたんだけど、これどういうこと?」

「あとから説明するよ。僕も着替えなくちゃ」

店員に案内され、前も試着室へと入る。そこには事前に用意してもらっていたスーツがあった。それに袖を通し、真冬を連れて店を出る。店の前には事前に予約してあったタクシーがあり、それに揺られて着いたのはフレンチのレストランだった。

「えっ?ここって予約必須の超人気店だよね」

「うん。予約したんだ。ここでディナーにしよう」

窓際の席に案内され、運ばれてくるコース料理を食べていく。最初は混乱していた様子の真冬だったが、人気レストランの料理を「おいしい」と笑みを浮かべながら口に運ぶ。その前で前は緊張していた。

(デザートが終わったら、いよいよプロポーズ!)