December〜この愛が続きますように〜

冷えた体を温めるため、前と真冬はイルミネーション近くにあるカフェへと入った。カフェには小さなクリスマスツリーが飾られ、店内には家族連れと数人のカップルがいた。

コーヒーを二つ注文しながら前は腕時計を見る。まだ次の場所へ行くまで時間はある。ここで少し休みながらクリスマスのロマンチックな話でもしよう。そう前は考えていた。

注文したコーヒーを店員が用意し、木製のトレーの上に乗せてくれる。前はそれを慎重にテーブルに運んでいた。真冬はテーブルで待ってもらっている。

(クリスマスにどうしてプレゼントを靴下に入れるか知ってる?ある貧しい家に、サンタクロースのモデルになったと言われる聖ニコラウスって人が窓から金貨を入れた袋を投げ入れたんだ。その金貨は暖炉の横に干していた靴下にスポンと入ったんだ。その伝説が語り継がれて、サンタクロースは靴下にプレゼントを入れるようになったんだって)

今日までに調べておいたクリスマスのロマンチックな話を心の中で繰り返しながら前は歩く。その時だった。

「きゃあ〜!」

大きな声を上げながら家族連れのテーブルから子どもが走ってきた。何が子どもを興奮させているのかはわからないが、親の静止を振り切って前の方へ走ってくる。そして思い切りぶつかった。