今日も星々は夜空を煌めく


きっとこの世界は偽りで醜く、汚いフィルターがあるような濁ったように私の瞳に映る。例えば、お金で売買する愛や身体。薄っぺらい関係の仕事話。心情と反して仲良くしている友情。その他に怠惰や嫉妬、憎悪など目には見えていなくてもこの世界に溶け込んだら察することなんて容易いのだ。

「すいません、この子にスクリュードライバーをお願いします。」

端側のカウンターから多少顔が赤く、見る限り会社帰りなのかスーツ姿の推定30代男が手を挙げた。

「...かしこまりました。」

私は棚からウォッカと冷蔵庫からオレンジジュースを手に取る。そしてやっぱり世界は汚いと心の中でため息をついた。男の隣には今にも眠りにつきそうな目の焦点がぼやっとしてる女がいる。女もスーツ姿だからきっと男と同じ仕事帰りなのだろう。スクリュードライバーは飲みやすいが、アルコールが強い為、「女殺し」と異名がつくからあまり男性側からのオーダーは危険な匂いが漂う。かと言って、女に「貴方は今からこの男に襲われますよ。」なんて言えるわけでもない。結局、見て見ぬフリなのだ。この世界は所詮そんな薄っぺらい。誰かが後から泣いても私はその涙を拭うことは出来ない。

私はシェイカーを振り、ロックグラスにアルコールを少し抑えたスクリュードライバーを注いだ。鮮やかなオレンジ色がキラキラと光る。

「お待たせ致しました、スクリュードライバーでございます。」

女の空いてるグラスと交換にスクリュードライバーが注がれているロックグラスを置く。

「カズく〜ん、私この後ホテル行きたーいの!」

女はボヤッと焦点が合っていない目をゆっくり動かし、スクリュードライバーを飲む。

なんだ、女もその気だったのか。無駄なことを考えてしまった。そしたらアルコール抑えなくてよかったな。色々考えてしまったことが馬鹿らしくなった。少ながらず、この世界には純粋というものは無い。汚くて醜い世界、それが私の居場所。


shandygaff -シャンディガフ-
「無駄なこと」