家族と

一週間後。
私は、学校から帰り、車に乗り込んだ。
これから碧さんのところへ挨拶へ行くのだ。そして、もう今日から家族ということになる。
なんだか地味に緊張してしまって、私はひたすらに窓の外を眺め続ける。
と、そこでお父さんが話しかけてきた。
「なぁ、妃愛と同じ学校っていうことで、もしかしたらクラスメートかもしれないんだけど・・・心の準備はできてる?」
「え?うん、大丈夫だよ。でも、確かにもしかしたらクラスメートかもね。苗字は何ていうの?」
「確か・・・・『川田』だったかな・・・」
一瞬、川田紫翠さんの顔が浮かぶ。だけど、まさかそんなはずは・・・川田なんていう苗字、たくさんいるし・・・・ね?
聞かなければよかったよ〜!

そうこうしているうちに、あっという間に碧さんのお家に到着。
玄関で、碧さんはにこやかに迎えてくれた。
「これからよろしくね、妃愛ちゃん。もう、妃愛って呼んでも大丈夫?」
「あ、はい・・・よろしくお願いします。碧さん。」
「うん、よろしく。ほら、あがって。」碧さんに招かれて、やや緊張しつつもお家に上がる。
「全く、紫翠はどこにいったのかしら?ちょっと待ってね。」
ん??
しっ、しすい!?
まさか、本当に川田さんじゃないよね?
いやってわけじゃないんだけど・・・・なんか、心の準備が・・・・
そわそわ、もじもじしていると、ふいに足音が聞こえてきた。
「ほら、妃愛ちゃん来たわよ。ご挨拶しなさい。」
「ったく・・・」
奥から声が聞こえ、そして碧さんと一緒にやってきたのは・・・・・
「「え??」」私と、彼の声がシンクロする。
「か、かかかか、川田さん!?」
私は手を謎にブンブンさせながら驚きの声を上げる。
まさか本当に川田さんだとは・・・碧さんの子供の名前、今の今まで知らなかったもん。
「え?月峰?何で・・・?」
どうやら相手も私だとは分かっていなかったみたい。
「お、本当にクラスメートだったか?仲良くしろよー。」
なぁんて、のんびりお父さんは言ってるけど、できるわけないじゃん!!
だって、あの、学校一人気者だよ!?
青葉に言ったら・・・