きみと私の恋のみち〜想いを伝えたい〜

週明け月曜日、私は教室に入った瞬間、不穏な空気に感づいた。
みんなはひそひそと仲の良い友達に耳打ちして、時々誰かを見て、にやにや、にやにや・・・・もしくは笑って、きゃあっと叫ぶさま。
私は一度かばんを席において、綾香のところへ行った。
「ねえ、なんかあったの?」
私がたずねると綾香は気まずそうな顔をした。
「ちょっと、ショックかもしれないけど、いい?」
あまりにも綾香が気を使った顔をするので私は頭に疑問符を浮かべながらうなずく。
「実はね・・・・みんなが羽音愛と月音くんが付き合ってて、香波さんを軽蔑した、みたいなこと言い出しちゃってね・・・・言い出しっぺは橘りえさんみたい。あっという間にこっちの方にも広がったらしいの。橘さん、結構しゃべっちゃうタイプみたいで・・・取り巻きの女子たちに言ったみたいなの・・・・」
ところどころ言葉を濁して伝える綾香を見ていて、私は自然にこぶしを握り、そのこぶしをプルプルと震わせていた。
それを心配したのか、綾香が控えめなまなざしで、私の目を覗き込んだ。
「ねえ、でたらめなの?それとも・・・本当?」
綾香は本気で疑っているわけではなさそうだけど、ちょっぴり眉をひそめて、顔をゆがませていた。「・・っ!違うよ。私が月音くんと付き合うなんてとんでもないし。それに、どうしてそんなことっ・・・・・・・・・・・・・・・・・
すると、入口のところにオレンジ色のリボンで髪を結った女の子が経っていたのに気づいた。「あっ、橘さん・・・・」
私は、この人が橘さんってわかった。男子たちの言う通り、夕焼けみたいな明るい色の髪の毛をオレンジ色のリボンで結んでいた。母がアメリカ人らしい。つまり、ハーフってやつ。 
私は勇気を出して橘さんの元へいった。
「ねえ、どうしてでたらめを流すの?」
私が真剣に聞くと、橘さんはひょうひょうとして口を開いた。
「え?でたらめなんかじゃないよ。私は見た光景をそのまま口にしただけ。」