はるけき きみに  ー 彼方より -

 ずっと以前に鹿島屋敷を訪れたことがある。
 思いがけなく紫音が連れて来られていた。

 あのとき、鹿島は操舵輪のことを聞いていた。
 紫音が答えられずにいると癇癪を起した。
 いきなり手を上げて殴りつけようとする。

 そのとっさのとき、マシューが彼女をかばったのだ。

 彼は滔々と銃の理論を聞かせて見せた。
 その成り行きに、鹿島が振り上げた手を止めたのだ。

 あの場面は鮮烈だった。
 今でもはっきり脳裏に浮かんでくる。

 そして、マシューが銃について熟知していることも明らかになった。

「実は・・」
 石川が切り出した。
「一人だけそんな人物を知っているのです」

 その言葉に徳兵衛が身を乗り出した。

「だ、誰なのですか、それはいったい」