はるけき きみに  ー 彼方より -

 傭兵団が斉極屋に近づいた。

 屋敷は門戸を閉ざして守りを固めている。
 不気味な静けさが辺りを包んでいた。

 そんななか、物陰から様子を窺っている者がいた。
 石川と田中だ。

 だが彼らは二人のみ、なにをどうすることも出来ない。
 門の中の斉極屋の兵と合流すればあるいは、と思う。
 だがぐるりと包囲した傭兵の間を抜けることは無理だ。

「どうするんだ、これから」
「肝心なのは傭兵の動きだ、やつらがどう出ようとしているのか」

 思案しているときだった。
 二人に駆け寄ってくる者がいた。
 役所の同僚だった。

 彼らは一年前、篠沢丹波が失職するまで志を同じくした仲間だった。

「申し訳ない、丹波様が落命されて役所の構造が変わってしまって」
「俺もだ、妻子や年老いた両親を抱えて躊躇してしまったのだ」
 離脱したことを詫びた。

 いま我が街が戦禍に遭おうとしている、それを傍観できず駆け付けたのだ。