「あれは本当に、いまだもって理屈がわからないのでございます」
「そうでしょう? だから、私はこの地を離れられないのだと思うわ。お父様が心を砕いて灌漑の装置をつくった。この地の農業を心底心配していてね。米の不作は死活問題になる、だから自分が出来ることをするのだと言って」
「お、お嬢さま」
「その身内が危険だから我先に逃げるなど、そんなことが出来る? 出来はしないわ。私には何の力もない。でもこの地区のために出来ることがあるかも知れないでしょう」
「・・・・」
「その上で、最後の最後になったとき地区会長や農家に声をかけるつもりよ、皆でいっしょに逃げようって」
淀みなく言いきった。
それを石川や田中が見ていた。
唖然として、だが目を光らせて見つめていた。
◆ ◆ ◆
「そうでしょう? だから、私はこの地を離れられないのだと思うわ。お父様が心を砕いて灌漑の装置をつくった。この地の農業を心底心配していてね。米の不作は死活問題になる、だから自分が出来ることをするのだと言って」
「お、お嬢さま」
「その身内が危険だから我先に逃げるなど、そんなことが出来る? 出来はしないわ。私には何の力もない。でもこの地区のために出来ることがあるかも知れないでしょう」
「・・・・」
「その上で、最後の最後になったとき地区会長や農家に声をかけるつもりよ、皆でいっしょに逃げようって」
淀みなく言いきった。
それを石川や田中が見ていた。
唖然として、だが目を光らせて見つめていた。
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