「そうだりん、それは水田にある灌漑の仕掛けでございますね」
「ええ、そうよ」
小屋の中にその舵があり、紫音が回すと次第に水が満ちてくるという代物だ。
生前の篠沢丹波が考案し、自ら造り上げたものだ。
「私も回しただけでなぜ水が湧いてくるのか、すごく不思議だった。そしてあの巧妙なカラクリ、なぜそうなるのかは父以外誰も知らないのよ」
丹波亡き今、それがわかる者は存在しない。
「さようでございますね。そして不思議と言えば」
八重がその謎を追うように、
「あれは紫音さまでないと操作出来ないのです。そのたびにお嬢さまが呼ばれて舵を回して水が満ちてくるのが不思議でございました」
丹波の前でそれを口にしたことがある。
すると、
『では八重、お前がやってみるといい。紫音と同じように右へ二回、次に左へ三回、最後に右へ一回だ。それと同じにやってみるがいい』
うながされてその通りにした。
だがなぜだか手ごたえがない。
紫音のときはギッギッギッと音が出た。腕に力を入れて重そうな舵を回していく。だが八重の場合は音も、手ごたえも感じられなかった。
明らかに空回りしているのだ。
家の用人もやってみる、結果は同じだった。
皆でその現象を不思議がる。
すると丹波はいたずらを仕掛けた子供のように笑っていた。
「ええ、そうよ」
小屋の中にその舵があり、紫音が回すと次第に水が満ちてくるという代物だ。
生前の篠沢丹波が考案し、自ら造り上げたものだ。
「私も回しただけでなぜ水が湧いてくるのか、すごく不思議だった。そしてあの巧妙なカラクリ、なぜそうなるのかは父以外誰も知らないのよ」
丹波亡き今、それがわかる者は存在しない。
「さようでございますね。そして不思議と言えば」
八重がその謎を追うように、
「あれは紫音さまでないと操作出来ないのです。そのたびにお嬢さまが呼ばれて舵を回して水が満ちてくるのが不思議でございました」
丹波の前でそれを口にしたことがある。
すると、
『では八重、お前がやってみるといい。紫音と同じように右へ二回、次に左へ三回、最後に右へ一回だ。それと同じにやってみるがいい』
うながされてその通りにした。
だがなぜだか手ごたえがない。
紫音のときはギッギッギッと音が出た。腕に力を入れて重そうな舵を回していく。だが八重の場合は音も、手ごたえも感じられなかった。
明らかに空回りしているのだ。
家の用人もやってみる、結果は同じだった。
皆でその現象を不思議がる。
すると丹波はいたずらを仕掛けた子供のように笑っていた。

