はるけき きみに  ー 彼方より -

「店の者にはそう伝えろ。二人は、ついうっかりして言伝もせず出発したのだと。だからもう探す必要はないのだと」
「な、なぜでございますか」

「来月には加奈の祝言がある。三好屋の跡取りの嫁になるのだ。それを控えてあらぬ噂をたてられたら迷惑千万だ」
「あっ!」

「事を荒立ててはならぬ。しばし様子を見ることにしよう。その上で相手がどういってくるのか・・」
 苦渋に満ちた顔で言う。

「そ、そうでございますね。これがもし三好屋の耳に入れば・・。そしてお嬢さま方のお命が大事でございます」
 番頭が承知した。