「なぜそう思われるのですか」
聞き返した。そして、
「いいえ違います。その男は関田という名前です。状況から、香苗様ははっきり信安様に伝えたのだと思います」
「・・せき、た?」
「はい。その関田は当時は役所の人間でした、だから懇親の会に出席していたのです。香苗様に問題のお酒を勧めたのも関田です。それから、その・・」
彼は京都でも言った、仏に仕える身では言いにくいのですが、と繰り返して、
「香苗様を別室に連れて行ったのもその男だそうです」
「本当に? 関田という名前で間違いないのですか」
「間違いありません。香苗様もこんなことで違った名前を言うはずはありませんから」
体から力が抜けていく。
かろうじて、
「その、関田はいったいどんな人物なのですか」
「なんでも二十年前は役所に勤めていたそうですが」
と繰り返した後で、
「その懇親会のあと関田は役所を辞めたのです」
「・・え?」
「それも突然に、まるでかき消すように姿を消したそうで。香苗様はそれをどう考えたらいいのか、とその事でも悩まれたようです」
信安は香苗から相談を受けるたび、それらを綴っていたのだ。
聞き返した。そして、
「いいえ違います。その男は関田という名前です。状況から、香苗様ははっきり信安様に伝えたのだと思います」
「・・せき、た?」
「はい。その関田は当時は役所の人間でした、だから懇親の会に出席していたのです。香苗様に問題のお酒を勧めたのも関田です。それから、その・・」
彼は京都でも言った、仏に仕える身では言いにくいのですが、と繰り返して、
「香苗様を別室に連れて行ったのもその男だそうです」
「本当に? 関田という名前で間違いないのですか」
「間違いありません。香苗様もこんなことで違った名前を言うはずはありませんから」
体から力が抜けていく。
かろうじて、
「その、関田はいったいどんな人物なのですか」
「なんでも二十年前は役所に勤めていたそうですが」
と繰り返した後で、
「その懇親会のあと関田は役所を辞めたのです」
「・・え?」
「それも突然に、まるでかき消すように姿を消したそうで。香苗様はそれをどう考えたらいいのか、とその事でも悩まれたようです」
信安は香苗から相談を受けるたび、それらを綴っていたのだ。

