はるけき きみに  ー 彼方より -

 ある昼下がりだった。
 昼食を終えた四人の耳に聞こえてくるものがあった。

 ドンドンドン・・。
 太鼓の響きだ。

「あら、今日だったのね」
 紫音の声が弾んでくる。

「なにが今日だって?」
 マシューが聞いた。

「案山子のお祭りなのよ。毎年この時期に行われていたけど、今日がその日だったのね」
「かかし? ああ scarecrow か。そんな祭りがあるんだって?」

「そうよ。この辺りの農家がね、田植えが終わって一息ついた頃にそんなお祭りをするのよ。地区ごとに別れて、どれだけ人間に近いのを作れるのかを競争するの。見ていて面白いわよ」

 だったら、と八重が、
「見に行かれたらどうですか。サジットも一緒に三人で行っていらっしゃいませ」

「いや、俺は行かないよ」
 サジットが即答する。
「人のかたちをした人形が苦手というのか、小さい頃から駄目だったんだ。そんなものには魂がこもっているような気がしてね」