はるけき きみに  ー 彼方より -

「心配してもらってありがたいと思っているわ。でもいっとき落ち込んだけど、そのあとは、どう言えばいいのか、少し気持ちが変わってきたのよ」
「え?」

「いろいろ聞いて思い悩んで、でも今の私には何をどうすることも出来ない。これから先もっと何かがわかってくるのかもしれない。だったらそのとき考えたらいいんじゃないかって」
「そ、そうでございますね」

「それで思い出したのよ、お母さまがわらいかけてくれた笑顔を。幼い頃に見たきりだからそれが現実だったのか、それ以後の夢で見たのか分からない。でもそれで思ったのね、私が悩むべき辛いものを、お母さまが持って行ってくれたのじゃないかって」
「・・・・」

「都合のいい考えかもしれない、でも今はそう思うしかない。そこに行きついたのよ」

 紫音の目は京都のほうを向いていた。
 遥かな何かを追い求めているようにも見えた。


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