はるけき きみに  ー 彼方より -

 旅から帰った三人をサジットが迎えた。
 マシューが驚いて、

「お前、フライロート号で出航したんじゃないのか」
「そのはずだったけど、ちょっとね」
 肩をすくめてわらった。

「港にいる船はいま出航できないんだ、密貿易船の取り締まりをするってことでね」
「密貿易船だって?」
「うん。役所の一部が捜査していたけど、やっとその手がかりをつかんだそうで」

 そんな二人の向こうを通っていく影があった。
 八重に付き添われた紫音だった。サジットに会釈して部屋に入る。

「どうかしたの? 彼女は」
「いや、京都でいろいろあってね」

「それはあの丹波殿の手紙のことか」
「まあ、そうなんだけど・・」
 あの紫音の複雑な事情を話していいものかと迷う。

「大変だったみたいだね。でもこっちはこっちで来客があったりしたよ」
「来客だって?」
「役所の石川と田中という侍が来たんだ」