ライラがレリウスの屋敷に来たその日の夜。ライラは寝る支度を済ませ、ベッドの中で一日を振り返っていた。

(生贄になると思ったのにならなかったし、あれよあれよという間にレリウス様のお屋敷に来て、こんなに良い思いをさせてもらって本当にいいのかな?でも、レリウス様はとにかくまずは健康的になれって言ってたし、早く栄養をつけて何かしらのお役に立たないと)

 いつお前は不要だと捨てられてしまうかわからない。レリウスがそんなことをするようには見えないが、使い道のない人間はどうなるかわからないのだ。ライラに帰る道はない。ここでなんとか生きていくしかないのだ。

 コンコン、とドアがノックされる。

「はい?」

 こんな夜遅くに誰だろう?不思議に思っていると、ドアが開いて意外な人物が入って来た。

「レリウス様!?」
「なんだ、不思議そうな顔をして」
「えっ、だって、どうしてここに?」
「ここは寝室だろう?そもそもここは俺の寝室だ」

 ポカンとした顔でライラがレリウスを見つめていると、レリウスは何食わぬ顔でベッドの中に入って来た。

「えええっ?一緒に寝るんですか?」
「別に取って食ったりしないから安心しろよ。俺はお前みたいなちんちくりんには興味がない」

(ち、ちんちくりんて!また言われた!)

 ライラが顔を赤くして少しムッとすると、レリウスはフッと笑ってライラに顔を近づける。突然のイケメンが目の前にあってライラは思わずドキッとする。

「それとも、何かしてほしいのか?」
「な!ち、違います!」

 ライラが顔を真っ赤にして抗議すると、レリウスは楽しそうにケラケラと笑った。

「ほら、さっさと寝るぞ」
「えっ、あ、はい……」

 もぞもぞとベッドの中に潜り込むと、レリウスはあっという間に寝息を立て始めた。ライラは呆れたような顔で見つめてから、自分ももぞもぞとベッドへ潜り込む。

(寝れるのかな、これ……)

 そう不安に思っていたが、ライラもいつの間にか寝入っていた。