ーー少しだけだぞ
「はいっ!……それでは、失礼して」

 おずおずとレリウスの近くまできて、ライラはそっとレリウスに手を伸ばす。首元のあたりに手を添えて、モフモフと毛触りを堪能する。

「はあっ!すごい!やっぱりモフモフ!ふわふわですねレリウス様!」

 ライラは嬉しさのあまり、思わず顔をレリウスの首元にすり寄った。

ーーなっ、おい、やめろ
「レリウス様、尻尾は正直ですね」

 レリウスの言葉に反して、レリウスの大きな尻尾は嬉しそうにブンブンと大きく振っている。

(よかった、レリウス様に嫌がられてないみたい)

「レリウス様、大きくてモフモフで可愛い……」

 ふふっと嬉しそうに笑ってさらに顔を摺り寄せるライラに、レリウスはふと何かに気づいたように鼻を寄せる。

ーーお前、やっぱりその香り……
「え?」
ーーいや、何でもない。そんなことより、そろそろ離れろ
「そんなこと言って、まだ尻尾は盛大に振ってますよね」
ーーベリック!余計なことを言うな!