それって、秋聖くんにしかメリットないじゃん。
私には、何のメリットもない。
秋聖くんのことが、好きだった。秋聖くんといると、心が熱くなった。
でも、それが嘘みたいに冷め切った。
そんな・・・人、だったんだ。
なんだか、急激に現実に引き戻された気がした。
私は、恋愛に夢を見ていたのかな。
そんな人だったんだったら、秋聖くんに恋なんかしなければよかった。
そうだったら、妃奈乃と気まずくなることも、妃奈乃に気を遣ってあげることもしなくてよかったのに。
・・・もっと、早く、気づけばよかった。
なんだか、どうでもよくなった。
ほんとうに、何もかも。
なんか、いままで積み上げてきた我慢も、無理して笑ってきたことも嘘みたいで。
気を遣っていて、それを必死にしていた自分がバカらしくなった。
「だから、恋春、おれは「やめて。」
今もなお、話し続ける秋聖くんの声を遮って私は口を開いた。
その声音は冷たくて、自分でもびっくりする。
「やめて、関わらないで。自分の恋のために他人の友情関係を壊す?何言ってんの?・・・私、そんな人とは付き合いたくない。」
私は、黙って踵を返す。ちょうど、予鈴が鳴り響く。
お昼ご飯を食べ損ねたことなんてどうでもいいくらい、ムカムカしていた。
・・・・その中に、ちょっぴり罪悪感が、残ってる気がした。
でも、妃奈乃と友達をやめることにこんなに反対していることが、自分でも予想外で。
自分が思ってる以上に妃奈乃のことを大切に思っているんだなって気づいた。
・・・・・今更ながら。