ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

「“動くな”」


そう言われたけれど、魅了の効かない私はとにかく逃げようという思いながら、男子生徒をドンと押して距離をとる。


男子生徒はバランスを失ってヨロヨロしたが、それは一瞬のことですぐに体勢を戻して私を見てくる。


その表情からは、隠し切れないほどの驚きが見られる。


「あれっ?僕の催眠が効かない?なんで…」


「あ、や…」


どうにか誤魔化そうと頭をフル回転させて考えるが、誤魔化せそうな言葉が見つからない。


どうしよう、と恐怖心が私を煽ってくる。


バレる…!


「もしかして君…『特別な血』?」


「…っ!」


反応を間違えた。


あからさまに動揺してしまったので、気付かれたかもしれない。


そう思い男生徒を見ると「悪い予想が的中してしまった」ということが一目で分かった。


「ふーん、じゃあ前言撤回。やっぱり僕、君に興味湧いたな〜」


面白そうにくすくすと笑って、男子生徒は近づいてくる。


その後、私の目の前で止まって不敵に笑った。


「僕、2年A組の夜神雨(やがみあめ)って言うんだ。後輩ちゃん、僕君ともーっと仲良くしたいな」


もしかして私、とんでもない人と関わっちゃったーーーーー?!?!