ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

「はい…」


そう言って、雪紀さんは私を押し除けてフラフラと部屋から出て行った。


「面倒だし…君の記憶も消すね?」


そう男子生徒に言われて、パッと顔をあげる。


今更ながら、危険な状態だと再認識する。


このままここにいては私の身が危ないととっさに思い、急いで逃げ出す。


早く出て行かなきゃ…!


私は必死に扉の方へと走るが…。


ドンッ!


「逃すわけないよね?」


壁に背中を押しつけられ、逃げ場を失ってしまった。


「君は僕がヴァンパイアって分かってたみたいだし…一部だけ消させてもらうよ」


そう言われて、ゾッとする。


頬を掴まれて、無理やり目を合わせてくる。


けれど、この人は知らない。


私が魅了の効かない人間だと言う事を。