ヴァンパイアに狙われています！〜運命は危険な出会い〜

これは本当のことである。


きっとこの男子生徒は女子生徒に吸血を迫っていたんだ。


男子生徒の校章が薔薇だから。


吸血鬼達が相手の許可なく吸血を迫れば、処罰をが下る。


きっとそのことを出せば、諦めてくれると思った。


でも、そんな期待はすぐに打ち砕かれてしまった。


そう、この時私はとても重要な事を１つ忘れていた。


吸血鬼達にはある能力があることを。


「はあー。めんど」


男子生徒が呆れたようにため息をついてから、女子生徒に向き直って言った。


「雪紀(ゆき)、僕のこと見て？今日はここでは何もしてない、今日あったことは全て忘れるんだ。さあ、行って」


女子生徒…雪紀さんと男生徒の目が合うと、とろんとしたような目つきになり違和感を覚える。


その2人の動きを見て、思い出した。


魅了(テンプ)だ！


魅了(テンプ)とは、吸血鬼であれば誰でも使える催眠術のようなものだ。


ちなみに吸血鬼達は催眠と呼んでいて、人間達は隠語で「魅了(テンプ)」と言う。