ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

私にはアリスという名だけが与えられた。


私達はスラムの人は漢字なんてものはわからなくて。


でも、スラムに落ちてた童話の本の“アリス”が私にそっくりだったからそう名付けられた。


「ママ…?」


母親は4歳の時に死んでしまった。


スラムには死体なんて山ほど転がっているから、腐敗臭には慣れていた。


だから、気にならなかった。


腐敗して虫まみれになった母の死体を、私は毎日抱きしめていた。


あれから2年が経ち、自分ももう少しで死ぬのだと思っていた。


痩せこけた体は骨ばっていて、目の前もくすんでいた。


食べ物は3日に1回食べられるかどうか。


でも、慣れていたから。


水も腐っていたけど飲むしかなかった。


飲まないで死ぬよりマシだって。


そんな私を助けてくれたのが、能力者一家で有名だった今のお父さんとお母さん。


倒れた私を見つけて家でお世話をしてくれた。


最初は戸惑った私だったけれど、優しくしてくれる莉子さんと一颯さんを両親だと思い始めていた。


そんな中、スラムで仲良くしていた天音ちゃんを思い出した。


彼女は真っ赤な瞳を持っていて、闇魔法を使う王族の女の子だった。


これは私だけが知ること。


他の子には教えないでねって言われたから、秘密にしてた。


もちろんお父さんとお母さんにも。


あの日不意に、天音ちゃんに会いたくなったんだ。


いつもご飯を一緒に食べて、一緒に寝て、一緒に遊んだ親友だ。


ヴァンパイアだからとか関係なくて、本当に大好きだった。


私は家を飛び出してスラムに戻ってきていた。


いろんな腐敗臭が混ざって、スラムに来たのだと認識した。


「やめて!!もう天音をいじめないで…!!」


突然大きな声が聞こえて、私は駆け出した。


「あまねちゃん!」


天音ちゃんがふたりの男に拘束されていた。


涙を浮かべる天音ちゃんに駆け寄った。


『なんなんだこのガキ。まあでも、スラムの奴なら殺しても問題わねーな』


私は心の声を聞いて、相手の攻撃パターンを読んだ。


軽やかに攻撃を交わして、天音ちゃんの手をとった。


「あまねちゃん!わたしのちをのんで!!」


あの日教えてもらったことがとっさに出てきてよかったと思う。

『天音は王族の血を持ったヴァンパイアなんだ。だからね、人間の血を飲むとすっごーく強くなれるんだよ!すごいでしょ!あ、このことは秘密だよ』


天音ちゃんが強くなれば、こんな奴らけちらしてくれるって思った。


そうしたら、とっさに動き出していた。


同性の血は美味しくないって言うけど、そんなことを言ってる暇はなかったの。


天音ちゃんは私だ出した腕をカプッと噛んで、ほんの少しだけ血を飲んだんだ。


「ありがとう」


そう言って天音ちゃんは口角を上げた。


その途端、紫色の霧が天音ちゃんを包んだ。


「闇よ、我に力をかしたまえ。“闇穴(ブラックホール)”」


「おい!!能力使わせてんじゃねえよ!」


ポンっと真っ黒い球体が出てきて、男達を吸い込んでいった。


「死んじゃった…?」


ブラックホールに吸い込まれた男達が死んでしまったのではと不安になる。


天音ちゃんはスカートをはたきながら言った。


「適当な場所に飛ばしただけだよ。これはただの“穴”だから」


そう言って指先に小さなブラックホールを出す。


私はいろんなことに安心して、泣き出してしまった。


「ちょ!泣かないでよっ!ケガでもしちゃったの?」


不安そうに私を見つめてくれる。


無事でよかった。


天音ちゃんが傷つくところなんて見たくないから。


「ううん、だいじょうぶだよ。あまねちゃんがいきててよかったよぉ」


わんわんなく私の背中をさすりながら、ずっとそばにいてくれた。


その後私は天音ちゃんにいろんな話を聞いた。


あの男達が施設の人間で、悪い奴らってこと。


今までどんな扱いを受けてきたのか。


私は天音ちゃんの横でしっかりとその話を聞いてあげたんだ。