ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

その奥は真っ黒で全く下が見えない。


いったいこの奥に何があるのか、すごく怖くてゾッとした。


「行こっか」


天音さんが、そう言って進んでいった。


長い階段を降りた先にあったのは長い通路。


私達はまた先へと進んでいく。


不気味な通路が怖くて、怖さを紛らわすように私は天音さんに聞いた。


「ね、ねえ…どこにいくの?」


「この先にある店だよ。ほら、前見て」


そう言われて、私はゆっくりと顔をあげた。


奥にドアが見える。


あの奥がお店ってことかな。


ドアの前まで来て、私は深呼吸をする。


「開けるよ」


ギイッと音を立ててドアが開き、同時に中の騒音が耳に届く。


「おや、おはようございます。彩鈴さん、天音さん」


中で出迎えてくれたのは、すごく優しそうなお兄さん。


黒髪はきっちりセンター分けでセットされていて、顔も整っている。


「オーナーやっほ」


天音さんが軽く挨拶をして、初めてオーナーさんだと知る。


「初めまして、お嬢さん。私はここのオーナーです。貴女は…どちら様ですか?」


優しいはずのオーナーさんの雰囲気が突然、恐ろしいものに感じてしまった。