ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

それから私達は華恋ちゃんに駆け寄る。


私が背中をさすれば、華恋ちゃんは涙をさらにあふれさせた。


そして数分後、華恋ちゃんは落ち着いた様子で笑いかけた。


「ごめんなさい、変なところを見せて。さ、授業も始まるし戻りましょうか」


私達に話す気はないみたいで、何事もなく教室に戻ろうとしてる。


それを見て、私は華恋ちゃんを引きとめた。


「待ってよ。ねえ、無理して笑わないでよ。授業なんてどうでもいいよ!!それより、華恋ちゃんの心はまだ泣いてる…」


普段は自分の気持ちを隠すのは上手でも、今はきっと抑えられないくらい辛いんだって私にも分かる。


そして、彩鈴ちゃんも言う。


「私達が頼りないならそう言ってほしいかな。そうやって何もないフリされる方が嫌」


珍しく真剣な顔で言うので、少し驚いた。


そして、華恋ちゃんはあせった表情をした。


「ごめんなさい…そういうつもりはなかったの。頼りないとか、信頼していないとかでは決してなくて。その、私の話にそれほど価値があるとは思えなくて。話さない方がいいだろうって思ってしまったの」


そう言って顔をそらす華恋ちゃんの姿に、胸がギュッと締め付けられた。