ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

「えっ?」


男の子の顔にはもうさっきの笑みは、残っていなかった。


それと、なんとなくさっきと印象が違う気がする。


「どうしたの?」とでもいうように首を傾げているその姿が可愛く見えて、幻でも見ていたような気分になる。


「ごめんね!いろいろ忙しくって…!」


この変な雰囲気を壊してくれたのは、お母さんだった。


バタバタと椅子に座ったお母さんを見て、おそらく今から同居の話とかをされるのだろうと思った。


「2人とも名前とか言った?」


お母さんに言われて、初めて自分が名乗っていなかったことに気がついた。


「あ、えとまだ…。初めまして!恋星夢乃っていいます」


「僕もまだだったよね。僕は、皇夜空(すめらぎよぞら)だよ。恋星さんよろしくね」


そう言って笑った皇くんの顔は、とても優しいものだった。


それからお母さんがどんな感じで過ごすのかの話とか、部屋の案内とかをいろいろした。


その後はお父さんも帰ってきて、みんなで夕食を食べ、私は部屋に戻った。


まだ宿題が終わっていなかったので、机に教科書やらプリントやらを出してさっさと片付けた。


入学初日から宿題なんて、夢色学園は鬼だなーっと思いながら。