ヴァンパイアに狙われています！〜運命は危険な出会い〜

友達なのか、ただの同居人なのか。


「まあいいや。私はさ、お前が夜空くんの周りにいるのが気に入らない。だからさっさと消えろよ」


やっぱり、音花さんの本性はこっちなんだ。


裏表が激しすぎて、音花さんを怖いと思った。


「おい、聞いてんのか？人間風情(にんげんふぜい)が調子乗んなよ。ヴァンパイアに気安く近づくんじゃねー」


「えっ？」


言葉にびっくりしたのもあるけど、それよりも視界が暗くなったことに驚いた。


誰かが私の視界をさえぎったのだ。


「音花、言い過ぎだ」


私の視界をさえぎっているのは、皇くんだった。


そしていつもと違う、怒っているような低い声。


「は…？その人間をかばうの？なんで？」


音花さんも怒っているのか、口調が強い。


「とにかく、音花が思ってるよりも俺にとって夢乃は大切な存在なんだ。行くぞ」


手首をつかまれて、強引に連れてかれた。


大切と言われたことが嬉しかった。


音花さんが気になって振り返ると、私のことをじっとにらんでいた音花さんがいきなりにたりと笑って。


「なーんであんな奴が大切なのかなぁ？あーでも、邪魔な奴は全員排除しちゃわないとねー！」


そんなことを言う音花さんを見て、寒気がした。