ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

華恋ちゃんも驚いている様子。


でもそうだ。


向こうとは距離がだいぶ離れているのに、気がつくなんてすごい。


って、感心している場合じゃない。


盗み聞きしてしまったわけだし、悪いことをしたよね。


私は隠れていた場所から出て、彼らに近寄った。


「すみません、今帰るところでして。とっさに隠れちゃっただけで、怪しい者じゃないんです…!!」


そう言うと、朝雛先輩は一瞬固まってから柔らかく笑った。


「ぷっ、あはは。わざわざ寄ってくんのか。別にいいよ、さっさと帰りな」


私の行動が面白かったみたいだけど、私にはよく分からなくて首をかしげる。


そして、いつのまにか後ろにたっていた華恋ちゃんが言う。


「では、失礼いたします。今後ともよろしくお願いします」


ぺこっと頭を下げたので、私もつられて礼をする。


「ああ、よろしく。気をつけて帰りな」


朝雛先輩は怖そうな印象と噂があったけれど、案外優しい人なのかも。