ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

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「…この部屋だよね」


私は今、指定された部屋のドアの前に立っている。


今日は祖父の付き添いできている。


なんでも、すごく有名な会社の社長さんにご挨拶するんだとか。


私の祖父も、有名な会社の社長だ。


最近はお見合いだとか、挨拶やパーティーなどで結構忙しい。


こんなに忙しくなったのは、高校に入ってからかな。


高校生になると大人にずいぶんと近づくからだと思う。


祖父にお世話になっている身で、断ることはできないから。


祖父が自慢できるような孫でいなくてはいけないんだと、いつも窮屈(きゅうくつ)に思う。


暗いこと考えちゃダメ…!集中、集中!!と自分に言い聞かせて、ノックをしてからドアノブに手をかける。


ガチャ。


「失礼します」


緊張を抑え込み、堂々とできるよう意識する。


部屋にいたのは祖父と朝雛(社長)さん、そしてその息子さんだ。