ヴァンパイアに狙われています！〜運命は危険な出会い〜

『そういえば、彩鈴にどこに行くか伝えていなかったわね。でも、言ったら緊張するかもだし言わないでおきましょう。それと、全然喋らないけど…不機嫌？』


華恋ちゃんの“声”が聞こえて、私はパッと顔を上げる。


華恋ちゃんにこんな心配させちゃいけないじゃん。


私ってば、何やってるんだか。


今日はちょっと調子悪いかも。


「ねえ華恋ちゃん！どこに向かってるの？こっちの方あんまり来たことなくって〜」


私は不安を感じさせたくなくって、できるだけ明るく言った。


華恋ちゃんは一瞬驚く。


「そ、そうなのね。えっと……向かってるのは私の家よ。後で夢乃も来る予定」


『彩鈴、いつも通りね。よかった』


誤解が解けたみたいで安心。


「ふふ」


「ん？どうしたの？」


「なんでもな〜い！」


華恋ちゃんのこの笑顔、好きだなと思った。


花がパッと咲いたようなきれいでどこかご令嬢一家の面影を感じるからかな。


華恋ちゃんの家に行くのは本当は抵抗がある。


だって、雨晴家って有名なヴァンパイアハンターの一家でしょ？


でも、行かなきゃいけない理由があるんだ。