ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

「美琴は俺の婚約者だよ」


「え…」


中学の頃の話だよね?


皇くんが住んでいたところでは、中学生でも婚約するのだろうか。


私には分からない世界の話だ。


「魔界じゃよくある話だよ、政略結婚なんて。魔界では上下関係が大事だからさ」


悲しそうに微笑む皇くんの姿を見て、胸が痛くなった。


好きでもない人と結婚なんて、どんな気持ちなんだろう。


なにも、上下関係のためにそんなことしなくていいのに。


「美琴も俺も、恋愛感情なんてないんだ。ただ意見が一致する友達って感じ?」


ははっと笑う皇くんは、とても苦しそうに見えた。


笑って悲しさを誤魔化しているようにも見えてしまったから。


「誰も俺なんかに興味ないんだよ。母親も、父親も…兄妹も」


「そんなことないよ…!」


私は恥ずかしさなんて忘れて、皇くんにぎゅっと抱きついた。


抱きしめてあげたかった、この悲しみに包まれた男の子を。