ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜

「美味しい…」


「よかった。好みじゃなかったらどうしようかと」


「ううん、私これが1番好き」


「そっか…」


華恋ちゃんの顔は、何故かひどく悲しいものだった。


何かを大切なものを失ったとでも言うような、そんな顔だった気がする。


それから華恋ちゃんは勢いよく立ち上がって、くるっと私の方へ振り返った。


その時見えた耳の薔薇のピアスが、月明かりに照らされて輝いて思わずじっと見つめる。


「私はヴァンパイアハンターの家系に生まれた、雨晴華恋。貴女を護衛するようにと任務が入ったの」


この時、すぐに皇くん達と話したことは全て本当だったという事を悟った。


華恋ちゃんがヴァンパイアハンターの家系だってことも、全部本当なのだと。


ショックではあった。


…でも、護衛って?


「私達は今『特別な血』を探しているの。そして…貴女が王冠(クラウン)の候補者。ヴァンパイア達に狙われる可能性がある以上、放ってはおけないの」


そんなことをいきなり言われても頭が追いつかない。