私は寮の部屋でため息をつく。
あの日から1週間が経ち、真白の態度はだんだんと変わっていった。
あんなこと言う人じゃなかったし、少し慣れないというか…。
毎日好きだよとか、付き合ってって言ってくるから。
私の心臓が耐えられないのよ!!
「華恋、どうしたの?」
ふと、ツキが声をかけてきた。
リビングにいたから誰がいても不思議じゃないんだけど。
「いえ…えっと、特に……」
一瞬言おうか迷ったけど、そんなの言っても迷惑よね。
特にツキは私をあまり好いていないし。
「なに。僕言いえないこと?」
珍しく隣に座ってくる。
距離もすごく近い。
「いえ…。別に言えないこととかではないのだけれど、ツキにとってはきっとどうでもいいことだと思うから」
「どうでもよくないって言ったら?」
「え…?」
私はツキを見つめる。
彼がそんなことを言うなんて珍しい。
なんだか、この学園に来てから態度が変わった気がする。
何かあるごとに一緒にいるし、よく笑いかけてくれる。
なぜ変化が起こったのかはわからないけれど。
「ていうか、それは僕が決めることだし。とりあえず話せばいいじゃん」
こんなこと言う人じゃなかった。
前のツキなら、こう言ったはず。
『あっそ。じゃあ僕もう行くから』
寄り添うどころか、私を突き放したはず。
でも、変わった。
——なぜ?
「ツキは…変わったわね。この学園に来てから」
ポツリとそんな言葉をこぼす。
「華恋に近づけると思って変わったんだよ」
「え?私?」
小さかったけど、私の耳には聞こえた。
たしかに私の名前を言った。
「僕さ、こんな感じで誤解されがちだけどみんなのことちゃんと好きなんだ。みんなといれる時間が好きだし、仲良くしたいって思う。でも、もし拒絶されたらって思うと怖くて…」
まさかツキがこんなことを言う日がくるなんて。
私は人の心を読みとるのが得意だから、本心であんなふうにしているわけじゃないとわかっていた。
でも、近づこうとはしなかった。
彼はそれを望んでいるのだと思ったから。
「特に華恋は特別。いつもこんな僕だけど一緒にいてくれるし、話も聞いてくれる」
ツキの手が私の頬に触れた。
妙に真剣な瞳が、私の鼓動を速くさせた。
不意に、唇が重なった。
「っ…!んぅ…!?」
舌をからめた大人なキス。
突然のことで驚いた私は、顔を赤く染めた。
それから、ツキが耳元でささやいてきた。
「僕、知ってるよ。前に華恋がサクとキスしてたの」
「…!?どうして…」
「たまたま見ちゃっただけだけど。でも、普段からしてるんでしょ?」
サクが私にキスをせがんでくるのはよくあることだ。
慣れている。
サクはああ見えて孤独に包まれた人で、なんとなく放っておけなかった。
私に似ていると思ったから。
そこに特別な感情などない。
「してる…けど。別にサクが好きだからとかじゃないわ。向こうも恋愛感情なんてないでしょうしね」
私はそう言い切ると、ツキは大きなため息をついた。
「はぁ…。ほんと、分かってないよね。華恋は鈍感(どんかん)」
「そ、そんなことないわよ…」
「だから、そういうところが鈍感って言ってるんだよ。サクは華恋の優しさにつけ込んで仲を深めようとしてるし、ユウは周りの女と同じ態度に見せかけて近くにいるようにしてるし、ユキは華恋と1番仲良いからって兄弟に牽制(けんせい)してるし…」
早口で言ったツキの表情は、少しイラ立ちを含んでいた。
そして、ツキが私をギュッと抱きしめる。
ツキの優しい香りが心地よく感じる。
「いつ取られんのかってヒヤヒヤしてんの分かってよ…。俺のことも少しは意識して」
ツキと目があった瞬間、また唇が重なった。
まるで欲をぶつけるような、喰われてしまうようなキス。
「真白が好きなんだろ」
そう言われて、抵抗できなくなった。
キスに溺れた。
あの日から1週間が経ち、真白の態度はだんだんと変わっていった。
あんなこと言う人じゃなかったし、少し慣れないというか…。
毎日好きだよとか、付き合ってって言ってくるから。
私の心臓が耐えられないのよ!!
「華恋、どうしたの?」
ふと、ツキが声をかけてきた。
リビングにいたから誰がいても不思議じゃないんだけど。
「いえ…えっと、特に……」
一瞬言おうか迷ったけど、そんなの言っても迷惑よね。
特にツキは私をあまり好いていないし。
「なに。僕言いえないこと?」
珍しく隣に座ってくる。
距離もすごく近い。
「いえ…。別に言えないこととかではないのだけれど、ツキにとってはきっとどうでもいいことだと思うから」
「どうでもよくないって言ったら?」
「え…?」
私はツキを見つめる。
彼がそんなことを言うなんて珍しい。
なんだか、この学園に来てから態度が変わった気がする。
何かあるごとに一緒にいるし、よく笑いかけてくれる。
なぜ変化が起こったのかはわからないけれど。
「ていうか、それは僕が決めることだし。とりあえず話せばいいじゃん」
こんなこと言う人じゃなかった。
前のツキなら、こう言ったはず。
『あっそ。じゃあ僕もう行くから』
寄り添うどころか、私を突き放したはず。
でも、変わった。
——なぜ?
「ツキは…変わったわね。この学園に来てから」
ポツリとそんな言葉をこぼす。
「華恋に近づけると思って変わったんだよ」
「え?私?」
小さかったけど、私の耳には聞こえた。
たしかに私の名前を言った。
「僕さ、こんな感じで誤解されがちだけどみんなのことちゃんと好きなんだ。みんなといれる時間が好きだし、仲良くしたいって思う。でも、もし拒絶されたらって思うと怖くて…」
まさかツキがこんなことを言う日がくるなんて。
私は人の心を読みとるのが得意だから、本心であんなふうにしているわけじゃないとわかっていた。
でも、近づこうとはしなかった。
彼はそれを望んでいるのだと思ったから。
「特に華恋は特別。いつもこんな僕だけど一緒にいてくれるし、話も聞いてくれる」
ツキの手が私の頬に触れた。
妙に真剣な瞳が、私の鼓動を速くさせた。
不意に、唇が重なった。
「っ…!んぅ…!?」
舌をからめた大人なキス。
突然のことで驚いた私は、顔を赤く染めた。
それから、ツキが耳元でささやいてきた。
「僕、知ってるよ。前に華恋がサクとキスしてたの」
「…!?どうして…」
「たまたま見ちゃっただけだけど。でも、普段からしてるんでしょ?」
サクが私にキスをせがんでくるのはよくあることだ。
慣れている。
サクはああ見えて孤独に包まれた人で、なんとなく放っておけなかった。
私に似ていると思ったから。
そこに特別な感情などない。
「してる…けど。別にサクが好きだからとかじゃないわ。向こうも恋愛感情なんてないでしょうしね」
私はそう言い切ると、ツキは大きなため息をついた。
「はぁ…。ほんと、分かってないよね。華恋は鈍感(どんかん)」
「そ、そんなことないわよ…」
「だから、そういうところが鈍感って言ってるんだよ。サクは華恋の優しさにつけ込んで仲を深めようとしてるし、ユウは周りの女と同じ態度に見せかけて近くにいるようにしてるし、ユキは華恋と1番仲良いからって兄弟に牽制(けんせい)してるし…」
早口で言ったツキの表情は、少しイラ立ちを含んでいた。
そして、ツキが私をギュッと抱きしめる。
ツキの優しい香りが心地よく感じる。
「いつ取られんのかってヒヤヒヤしてんの分かってよ…。俺のことも少しは意識して」
ツキと目があった瞬間、また唇が重なった。
まるで欲をぶつけるような、喰われてしまうようなキス。
「真白が好きなんだろ」
そう言われて、抵抗できなくなった。
キスに溺れた。


