ふと琉愛をみると、彼女は相変わらず無表情。
だけれども、どこか悲しみにつつまれた瞳をしていた。
「華恋さんはお姉さんのことが大好きだったんですね」
「ええ、そうよ。それは知っていたでしょう?」
「えっ?」
琉愛は驚いたように顔を上げる。
そして、目が合う。
私はにこりと笑ってこう言った。
「もう思い出してるんでしょう?レンカお姉様」
「………そっか、バレてたんだね」
「当然」
琉愛は笑った後、ポロポロと涙を出した。
それから手で顔をおおう。
「ついね、最近っ…思い出したの。でも、私はもうカレンに愛されたお姉様ではないから…」
「何言ってるの!」
私はつい声をあらげてしまった。
「しゃべり方が変わっても、外見が変わっても魂は変わらない。貴女はまだ、私が慕っているお姉様なのよ」
「ふっ、そういうところ昔から変わらないね」
その笑い方は、レンカお姉様のもの。
私が見間違えるわけがない。
「…あの後、どうなったの?」
「あの後って、レンカお姉様が処刑された後?」
「うん、そう」
レンカお姉様はエペ・アカンサス王子と婚約関係にあった。
エペ様のことをレンカお姉様が恋慕っているのは誰が見ても分かることであった。
そんな中、エペ様を好きだとう言う公爵家の娘が出てきた。
名前はシャルム・アセビ様。
レンカお姉様をひどく嫌っていた。
みんなの前では態度もよくて信頼されている様子だった。
しかし、裏ではレンカお姉様をいじめていた。
シャルム様とエペ様は次第にひかれ合い、レンカお姉様のことなんか眼中になくなってしまった。
そんなある日、シャルム様の策略によってレンカお姉様は罪人となってしまった。
『罪状はシャルム・アセビ公爵嬢を殺害しようとしたことである』
レンカお姉様はそんなことをする人ではない。
そう訴えると、私もレンカお姉様の仲間として見られて罪人にされてしまった。
そうして、私達は公開処刑された。
「あの後…私は自殺したの」
「じ、自殺?!」
これでもかというほどの大きな琉愛の声が病室に響いた。
「ええ。私はもう全部どうでもよくなってしまって、みなの前で自分が女神であると明かした」
ーーーーー
「これより、レンカ・アイリスの公開処刑を始める。最後に言い残すことは?」
「カレンに…。こっちへ来て」
最後というので、特別に許可をしてくれた。
私は冷たい床を歩き、レンカお姉様の前で座った。
彼女の手枷が外れる。
そして、私のほほに優しく触れた。
「今までありがとう。貴女には感謝してもしきれないわ。あの世へ行っても私達は一緒よ。愛してるわ、たったひとりの愛しい妹…カレン」
彼女は泣かなかった。
だから、私も泣くわけにはいかなかった。
見送るしかなかったの。
また、私は何もできなかった。
レンカお姉様の首がすとりと床に落ち、とたんに涙があふれて止まらなかった。
どうして、私はこの時女神の力で助けなかったのだろう。
いや、助けてはいけなかった。
「レンカお姉様ぁぁぁぁぁ!!!いやっ、いやぁぁ!!」
本当に、残酷な契約。
だけれども、どこか悲しみにつつまれた瞳をしていた。
「華恋さんはお姉さんのことが大好きだったんですね」
「ええ、そうよ。それは知っていたでしょう?」
「えっ?」
琉愛は驚いたように顔を上げる。
そして、目が合う。
私はにこりと笑ってこう言った。
「もう思い出してるんでしょう?レンカお姉様」
「………そっか、バレてたんだね」
「当然」
琉愛は笑った後、ポロポロと涙を出した。
それから手で顔をおおう。
「ついね、最近っ…思い出したの。でも、私はもうカレンに愛されたお姉様ではないから…」
「何言ってるの!」
私はつい声をあらげてしまった。
「しゃべり方が変わっても、外見が変わっても魂は変わらない。貴女はまだ、私が慕っているお姉様なのよ」
「ふっ、そういうところ昔から変わらないね」
その笑い方は、レンカお姉様のもの。
私が見間違えるわけがない。
「…あの後、どうなったの?」
「あの後って、レンカお姉様が処刑された後?」
「うん、そう」
レンカお姉様はエペ・アカンサス王子と婚約関係にあった。
エペ様のことをレンカお姉様が恋慕っているのは誰が見ても分かることであった。
そんな中、エペ様を好きだとう言う公爵家の娘が出てきた。
名前はシャルム・アセビ様。
レンカお姉様をひどく嫌っていた。
みんなの前では態度もよくて信頼されている様子だった。
しかし、裏ではレンカお姉様をいじめていた。
シャルム様とエペ様は次第にひかれ合い、レンカお姉様のことなんか眼中になくなってしまった。
そんなある日、シャルム様の策略によってレンカお姉様は罪人となってしまった。
『罪状はシャルム・アセビ公爵嬢を殺害しようとしたことである』
レンカお姉様はそんなことをする人ではない。
そう訴えると、私もレンカお姉様の仲間として見られて罪人にされてしまった。
そうして、私達は公開処刑された。
「あの後…私は自殺したの」
「じ、自殺?!」
これでもかというほどの大きな琉愛の声が病室に響いた。
「ええ。私はもう全部どうでもよくなってしまって、みなの前で自分が女神であると明かした」
ーーーーー
「これより、レンカ・アイリスの公開処刑を始める。最後に言い残すことは?」
「カレンに…。こっちへ来て」
最後というので、特別に許可をしてくれた。
私は冷たい床を歩き、レンカお姉様の前で座った。
彼女の手枷が外れる。
そして、私のほほに優しく触れた。
「今までありがとう。貴女には感謝してもしきれないわ。あの世へ行っても私達は一緒よ。愛してるわ、たったひとりの愛しい妹…カレン」
彼女は泣かなかった。
だから、私も泣くわけにはいかなかった。
見送るしかなかったの。
また、私は何もできなかった。
レンカお姉様の首がすとりと床に落ち、とたんに涙があふれて止まらなかった。
どうして、私はこの時女神の力で助けなかったのだろう。
いや、助けてはいけなかった。
「レンカお姉様ぁぁぁぁぁ!!!いやっ、いやぁぁ!!」
本当に、残酷な契約。


