「あれって、カレン?」
「え?それって誰かしら」
「ほら、平民の。恥知らずよね、この有名校に入学なんて」
また言われてる。
もうその程度にしか感じなくなって、私の中の感情は再び消えかけていた。
でも、そんな中でも私の味方をしてくれたのは貴女だけでした。
「貴女達の方が恥知らずよね。陰で人を悪く言うなんて、恥ずかしくないのかしら?」
キラキラ、まぶしかった。
紫色の髪に美しい横顔。
「れ、レンカ様?!も、申し訳ございません…」
この人、知ってる。
レンカ・アイリス、私の双子の姉だった。
「あら、もう行っていいわよ。でも、そうね。私の妹を侮辱したこと、覚えておきなさい」
低く怒ったような声に怯えながら去っていった。
「レンカ様、お見苦しいところをお見せしてしまって申し訳ありません」
「…いいのよ。それと、その言葉遣いは姉に対するものじゃないわね」
「どういうことでしょうか」
私の言葉に、やれやれとため息をついた。
それから、私をギュッと抱きしめた。
さすがに驚いてしまう。
「ずっと貴女に会いたかったのよ、カレン。お父様がカレンに会うことを許してくれなくってね」
「それはそうでしょう。どうしてただの使用人が、レンカ様と会うのでしょうか?」
レンカ様は苦しそうに表情をゆがめた。
「そんなこと言わないでちょうだい。私にとってカレンは大切な妹なのよ?」
「妹?私がレンカ様の?そんなわけがありません」
私は魔力が少ないから、それだけのことだけれど私はアイリス家の人間じゃなくなった。
それに対して文句も言わなかった。
つまり、認めたということ。
ならば最後までその意思を通さなければ。
「っ…!やめて、そんなこと言わないで…。私は、貴女を妹だと思ってる。貴女だけが…私の光なの!」
そう言ったレンカ様の顔は悲しみにつつまれていた。
「みんな私のことをもち上げて、レンカ様って呼ぶの。もう嫌なのよ…!大好きだったお父様も、友人も!!みんな、みんな私自身を見てくれない……。貴女だけなの、カレンだけが私を見てくれた。私の思い出の中の、ただひとつのきれいな記憶なの」
とたんに、記憶がよみがえった。
そうだ、私はつい数ヶ月前彼女に言った。
『いい子ぶらないでくださいよ…!そんなのレンカ様じゃないです!!私はずっと後悔してるんです。あのときこうすればよかった、そうすれば…って。でも、どんなに後悔しても親友はもう戻ってこない!!!貴女には、そんな思いをしてほしくないんです…。だって、レンカ様は私の思い出の中のただひとつのくれいな記憶なんですから』
その後なんて言われたかも覚えていない。
いちいち気にしてもいない。
『カレン、いつか貴女が想える大切な人を見つけたら大切にするのよ。貴女には幸せになってほしいんだから。だからどうか、生きて』
これは真鈴の言葉。
そうだ、そうだ。
悲しかった、悔しかった、むなしかった。
自分を見てくれないのが、何もできない無力さが、痛みを分かってくれないのが
辛かった。
この人は同じ痛みを持って生きている。
両親に認めてもらいたかった、自分をアイリス家の娘としてではなくカレンとして見てほしかった。
「“自分らしく生きる、それがきっと後悔しない道です”と、貴女は言ったわね。私は貴女と生きたい。そう願っちゃダメかしら?」
彼女の言葉が嬉しかった。
そう、この時私は暖かい愛情を見つけてしまった。
「今でもずっと貴女が大好きなんです…!私も、一緒に生きたい!」
そうだ。
この人は私のただひとりの、大切な家族なんだ。
同じ痛みを持っているよね。
今もまだ大好きなんだ、たったひとりのお姉様。
レンカお姉様を愛しているの。
「え?それって誰かしら」
「ほら、平民の。恥知らずよね、この有名校に入学なんて」
また言われてる。
もうその程度にしか感じなくなって、私の中の感情は再び消えかけていた。
でも、そんな中でも私の味方をしてくれたのは貴女だけでした。
「貴女達の方が恥知らずよね。陰で人を悪く言うなんて、恥ずかしくないのかしら?」
キラキラ、まぶしかった。
紫色の髪に美しい横顔。
「れ、レンカ様?!も、申し訳ございません…」
この人、知ってる。
レンカ・アイリス、私の双子の姉だった。
「あら、もう行っていいわよ。でも、そうね。私の妹を侮辱したこと、覚えておきなさい」
低く怒ったような声に怯えながら去っていった。
「レンカ様、お見苦しいところをお見せしてしまって申し訳ありません」
「…いいのよ。それと、その言葉遣いは姉に対するものじゃないわね」
「どういうことでしょうか」
私の言葉に、やれやれとため息をついた。
それから、私をギュッと抱きしめた。
さすがに驚いてしまう。
「ずっと貴女に会いたかったのよ、カレン。お父様がカレンに会うことを許してくれなくってね」
「それはそうでしょう。どうしてただの使用人が、レンカ様と会うのでしょうか?」
レンカ様は苦しそうに表情をゆがめた。
「そんなこと言わないでちょうだい。私にとってカレンは大切な妹なのよ?」
「妹?私がレンカ様の?そんなわけがありません」
私は魔力が少ないから、それだけのことだけれど私はアイリス家の人間じゃなくなった。
それに対して文句も言わなかった。
つまり、認めたということ。
ならば最後までその意思を通さなければ。
「っ…!やめて、そんなこと言わないで…。私は、貴女を妹だと思ってる。貴女だけが…私の光なの!」
そう言ったレンカ様の顔は悲しみにつつまれていた。
「みんな私のことをもち上げて、レンカ様って呼ぶの。もう嫌なのよ…!大好きだったお父様も、友人も!!みんな、みんな私自身を見てくれない……。貴女だけなの、カレンだけが私を見てくれた。私の思い出の中の、ただひとつのきれいな記憶なの」
とたんに、記憶がよみがえった。
そうだ、私はつい数ヶ月前彼女に言った。
『いい子ぶらないでくださいよ…!そんなのレンカ様じゃないです!!私はずっと後悔してるんです。あのときこうすればよかった、そうすれば…って。でも、どんなに後悔しても親友はもう戻ってこない!!!貴女には、そんな思いをしてほしくないんです…。だって、レンカ様は私の思い出の中のただひとつのくれいな記憶なんですから』
その後なんて言われたかも覚えていない。
いちいち気にしてもいない。
『カレン、いつか貴女が想える大切な人を見つけたら大切にするのよ。貴女には幸せになってほしいんだから。だからどうか、生きて』
これは真鈴の言葉。
そうだ、そうだ。
悲しかった、悔しかった、むなしかった。
自分を見てくれないのが、何もできない無力さが、痛みを分かってくれないのが
辛かった。
この人は同じ痛みを持って生きている。
両親に認めてもらいたかった、自分をアイリス家の娘としてではなくカレンとして見てほしかった。
「“自分らしく生きる、それがきっと後悔しない道です”と、貴女は言ったわね。私は貴女と生きたい。そう願っちゃダメかしら?」
彼女の言葉が嬉しかった。
そう、この時私は暖かい愛情を見つけてしまった。
「今でもずっと貴女が大好きなんです…!私も、一緒に生きたい!」
そうだ。
この人は私のただひとりの、大切な家族なんだ。
同じ痛みを持っているよね。
今もまだ大好きなんだ、たったひとりのお姉様。
レンカお姉様を愛しているの。


