裏社会の私と表社会の貴方との境界線

***


ッキ!


約1時間後に車が停まった…つまり目的地についたようだ。


「そう言えば私、目的地がどこか知らないわ。迎えに行くとしか言われてないから…」


すぐそばにいたツキに、とりあえず疑問を投げかけてみる。


一瞬嫌そうにしたが、ひとりで納得したようにうなずいてから答えてくれた。


「スカイ学園の寮。僕達は3階の部屋だって」


「?“僕達”って…みんな同じ部屋なの?」


寮っていうのはひとり1部屋だと思っていた。


それに、年頃の男女が同じ部屋っていうのも不思議だ。


「そうだってよ。まあ、個人部屋が1人1人あるみたいだし安心して」


「えっ?!あ、うん!」


今のは本当に焦った。


感情を出さぬよう教わってきたので、なかなか私の心を読める人物などいないから。


それにしても、動揺しすぎた。


あんなにも感情を出したのは何年ぶりだろうかと思うほどに。


「おーい!こっちこっち!」


寮の方から、誰かを呼んでいるような声が聞こえた。


まだ寮へは距離があるので、そこに立っている人物の顔はよく見えない。


しかし、今の声から察するに…。


「「ユウうるさ」」


私とツキの声が重なり、顔を見合わせる。


その時見た表情は一度も忘れた事がない。


ツキが私に初めて見せてくれたのは、とても穏やかで優しい笑顔だった。