わけありくんを護ります


「せっかく、亀井に送ってもらったのに」

やっぱり……あのやり手の側近が絡んでたのね。

「ごたくはいい。よこした紙に書いてあったゲストって誰だ。俺らとやるために新しい助っ人でも呼んできたってか?」

私たちより1歩前に出た松野くんの声は、人一倍響いた。
早々にゲストのことを聞いておくのは、いいと思う。気になるからね。

「まあ、そんなところかな。ちょっと早い気もするけど、ゲストのお披露目をしようか。さあ……おいで」

鶴谷は悩む素振りを見せてから、にやりと笑うと両手を広げた。



「──万里」



は──!?万里って……

私が知る『万里』くんに目を向ければ、
竹森くんは強瀾の学ランを宙に脱ぎ捨て、
ヨイヤミ側の方へ歩いていく。

パサッ、と竹森くんの学ランが私たちの前に落ちた。

「バン!」

すぐに松野くんが声をかけたけど、聞こえてないみたいに、ヨイヤミのパーカーを受け取った竹森くんは、そのまま羽織った。


「……これの、こと」

ヤミのパーカー身につけた……ゲストって
──竹森くんのことだったわけ……


「へぇバンチャン、そういうこと。はは!……なんて、笑えねぇわ」

梅木くんはまるで松野くんのような口調で言うと、かわいらしい顔を歪める。