幽霊姫は止まれない!

「じゃあ聞きますけど、俺はどうなんですか」
「どうって」

 恨めしい顔つきになったオスキャルからそう聞かれ、首を傾げる。そんな私に大きなため息を吐いたオスキャルがまるで答え合わせするように口を開いた。
「今回、俺はどういう設定で隣国へ来ることになったんでしたっけ」
「簡単なことよ。ソードマスターの貴方は友好国であるこのエトホーフト国へ、騎士の合同訓練に参加するために来たという設定だわ。隣国の高位貴族の令息たちも呼んで訓練もつけながら、ね」
 名目は親睦を深める合同訓練だが、ソードマスターの練習相手になれるような騎士はソードマスターしかおらず、ソードマスター同士が訓練とはいえ本気で打ち合ったら収拾がつかなくなる。
 その為、一緒に隣国へと来た騎士たちは合同訓練を行い、オスキャルは高位貴族の令息たちを指導することになったのだ。

 遠回しに騎士たちを訓練して欲しいという申し出がされたが、騎士同士で高めあうべきという主張を押し通しこの形に落ち着いたのである。