彼女は俺の特別だから。
「オスキャル、どうかした?」
「あ、いや。エヴァ様が脱走しないよう、逃げ道をどう塞ぐか考えてました」
「最悪なこと考えてるわね!?」
うっかり考え込んでいた俺は、また適当なことを口にしてその場を流す。相変わらずエヴァ様は俺の言葉にキャンキャンと文句を言っていた。だが俺は、この文句が口先だけのもので、こういったやり取りを嫌っていないと知っている。
(エヴァ様が昼に脱走を試みないのは、この昼食の時間を楽しみにしてくれているから――なんてのは流石に俺の自惚れかな)
ソードマスターは魔力による身体強化で圧倒的な力を持っている。ひとりで一個小隊を凌駕するとも言われるその強さゆえ、俺たちソードマスターは〝外へ出ること〟が禁止されていた。国家のパワーバランスが崩れるからだ。もちろん旅行などが出来ないということではなく、場合によっては他国へ何年間も出向くことだってある。出られない、というのはあくまでも所属の話だ。
「オスキャル、どうかした?」
「あ、いや。エヴァ様が脱走しないよう、逃げ道をどう塞ぐか考えてました」
「最悪なこと考えてるわね!?」
うっかり考え込んでいた俺は、また適当なことを口にしてその場を流す。相変わらずエヴァ様は俺の言葉にキャンキャンと文句を言っていた。だが俺は、この文句が口先だけのもので、こういったやり取りを嫌っていないと知っている。
(エヴァ様が昼に脱走を試みないのは、この昼食の時間を楽しみにしてくれているから――なんてのは流石に俺の自惚れかな)
ソードマスターは魔力による身体強化で圧倒的な力を持っている。ひとりで一個小隊を凌駕するとも言われるその強さゆえ、俺たちソードマスターは〝外へ出ること〟が禁止されていた。国家のパワーバランスが崩れるからだ。もちろん旅行などが出来ないということではなく、場合によっては他国へ何年間も出向くことだってある。出られない、というのはあくまでも所属の話だ。

