幽霊姫は止まれない!

 そんな彼の横顔を後ろから見ながら感じる違和感に戸惑った。



(この違和感は、彼が〝横顔〟だからなんだわ)

 ここ最近で何度も見たサイラスの顔。そんな彼の顔なのに、横から見ただけで途端に別人のように感じたのだ。

 思い当たった違和感の正体に、どんどん私の心が重くなる。

 横顔に違和感を覚えるくらい、彼の正面顔ばかりを見ていたのだと気付いたからだ。



 それだけ彼が私へと顔を向け、視線を合わせてくれていたということだろう。



 プロポーズの返事をするのは私側のはずなのに、この後彼から審判を下されるような気がしてならない。

 そしてその審判の答えは、きっと――。



「風が気持ちいいな」

「そう……ですね」

 会場ホールを通り抜け、その奥のバルコニーに出た。涼しい風が肌に触れると心地いいが、正直居心地はあまり良くない。

 少し言い淀んでしまったのもそのせいだろう。



(私、今からフられるのかしら)



 互いに恋愛感情がないことはわかっているので、フられるという表現は間違っているのかもしれないが、この場に流れる雰囲気は完全に別れ話のような重さを纏っている。