幽霊姫は止まれない!

 しかも、友人の妹だからとこんなに心配し、そして自分の目的を後回しにして私の手をここまで引き、そしてかばってくれたサイラスという人間である。



「何か俺に、吐き出したいことはある?」

 相手が聞き取りやすいようハキハキと、そしてからかう時以外は明確な言葉で伝えることの多いサイラスが、少し小さな声で聞いた。



(吐き出したいこと?)

 プロポーズの答えを聞きたがっているわけではなさそうだが、質問の意味がわからない。

 小声すぎて聞き逃した部分でもあったのかと首を傾げた私に、ふぅ、とわざとらしいほど大きなため息をついたサイラスが、暗かった表情を明るくし私の額を指先で軽く小突いた。



「ないならいいんだ。この後、すぐ公爵と踊りたいというならエスコートを公爵と代わるけど希望は?」

「希望は……」

 チラリとノルベルト公爵の方を見ると、相変わらず眉を潜め口を固く閉じたまま。完全に拒否の表情と雰囲気だが、さっき知った不器用さを考慮するとあの顔は満更でもないのだろう。多分。



 だが、サイラスの言ったエスコートを代わる、という言い回しが気になった私がサイラスへと視線を戻す。